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あるLeicester City FCファンのブログ

20/21 第11-13節: わかりやすい弱点

PLでミッドウィーク開催が始まったところで、上位チームの躓きが増えているのはコンディションの問題でしょうか。レスターも見どころに欠ける試合が増えている感じがして、何書こうかと考えているうちにどんどん試合が進んでしまいました。今回は1つ1つの試合というよりここまでのスタッツ、特に得失点絡みについて書いてみます。

セットプレーが大の苦手

WhoScoredによれば、PLでのレスターのここまでのセットプレー(PKは除く)での得点は0でブライトンとともに最下位、失点は7でリーズの8に次いでワースト2位だそうです。シェフィールドU戦でも確か実況で言及していてその通りに失点しました。そしてエヴァートンに対しても失点。2回もはじいたSchmeichelのやりきれない顔がすべてを物語っていました。

長身の相手9番に対してTielemansが競っていたり、こぼれ球に対し全員足が止まっていたりと、CKでの失点は本当に多いです。観ていて怖い。これまでNdidiが怪我だったりエヴァートン戦ではEvansが出場停止だったりと、空中戦で頼れる選手が欠けていたのもあるのかなと。Vardyがゴール前で守ってるのもよく見るような…。Fofanaは流れでの守備は強固ですがセットプレーは集中できていないことが少し多いかもしれません。まだ若いのでこれからでしょうか。

流れでの得点は16でトッテナムの18に続いてリヴァプールと同率の2位。だからこそセットプレーが攻撃でも守備でも本当にもったいないです。セットプレーでの得点がないということは、相手からすれば攻め込まれたらとりあえずクリアかエリア前でのファウルでいいわけですから。

1失点したらMorganを入れてみるのもアリかもしれないですね。エヴァートン戦なんかはビハインドからセットプレーで追いつけず逆にCKで差を広げられたわけで、空中戦で無類の強さを誇るキャプテンに頼ってもいいのではないかと。まぁビルドアップとかのリスクはありますが。

カウンターが苦手

WhoScoredを眺めていて驚いたのが、レスターのカウンターでの得点がPLでは0ということです。どこまでをカウンターと取るのかにもよるのでしょうが、Rodgers監督になってスタイルが変わっとはいえここまでとは。主な原因はやはりNdidiが中盤にいないことでしょう。怪我で欠場か出場してもCBが多かったので。

あと最近気になるのがプレスの連動。Vardyが一気に距離を詰めるのに周りがついていけず(いかず?)、Vardyが不満そうに手を広げるシーンが増えています。これについてはMaddisonとPraetの怪我明けから続いているコンディション不良と、過密日程でも出ずっぱりでそのあおりを受けるTielemansの疲労によるところもあるかと思います。あとはフォーメーションの違いも。

あくまでイメージですが、Vardyがプレッシャーをかけて、中盤4人で追い詰めて、相手が無理にパスしたところをNdidiが奪ってカウンター(しかも両SBのオーバー/インナーラップ付き)というのが昨季のパターンだった気がします。Mendyでも同じことはできるかもしれませんが、その前で追い込めないことの方が問題です。

カウンターもまたセットプレーと同じで、守るのも苦手なようです。今季PLで2点以上カウンターで失点しているのはレスター含め5チームだけ。その5チームの中で流れからの失点は6と一番少ない(次に少ないのはサウサンプトンの11)分カウンターに対する弱さが目立っています。

もともと選手同士が近い距離でパス交換をして崩そうとする分、奪われると広大なスペースがあります。ここを使われないように一気に圧縮するのがリヴァプールやマンCのようなチームだと思いますが、レスターはそこまでカウンタープレスが上手くないです。これをカバーするのがNdidiだったりEvansの飛び出しだったりなのですが、一人でも欠けると止めきれないのかもしれません。さらに現状Ndidiもコンディションが最高ではないのか、止めきれないシーンが普段より多くなっています。

チャンスの形

レスターの強みは、スルーパスからの得点とWhoScoredではされていて、実際観ていてもスルーパスが上手く通ればかなりの確率で得点に結びつきます。逆に言えばスルーパスを通されなければ失点しないと相手は見ているかもしれません。実際、Ancelotti監督はSBとCBの間をボランチに集中的にケアさせていた感じがしました。

以前Rodgers監督が、裏にスペースがない場合は裏に走る選手を置いても上手くいかないからほかのタイプが要る、というようなことを言っている記事を読みました。エヴァートン戦は奇しくも前の記事で自分が期待していた裏抜け特化メンバーでしたが、早々に失点(Barnesのポジショニングミスがあったように見えました)したためにスペースはもらえず。こういった裏がないときの形がいまだに見えてこないです。

エヴァートン戦では特に相手の2ラインのブロックに対し、レスターは皆がブロックの手前に出てきてしまい結果そのまま文字通り壁にぶち当たりました。果敢にドリブルを試みますがすぐに3,4人に囲まれてしまい、あれで得点できるのはMessiのようなトップオブトップぐらいでしょう。相手に引いて守られて時間がなくなると、前線の選手はVardyを除いて相手守備網に無謀な突撃をしてチャンスをふいにすることが非常に多いです。それで追いつけたり勝ち越せたりしたためしはないですが。

ブライトン戦で希望が持てたのは、Justinの速いクロスでした。エヴァートン戦でもÜnderの巧みなフリックからJustinが良いクロスを入れていました。以前よりクロスでのチャンスメイクが増えたので、今後も伸ばしてほしいところです。そして無謀な中央突破に頼らずにサイドを素早く上がってクロスから得点、という形も再現性高く使えるようになれば道が開けるかもしれません。Justinの成長とともにPereiraとCastagneの復帰も待ち遠しいです。

あとはこの形で活きそうなのがAlbrighton。ブライトン戦では左に回ってから大活躍でした。Albrightonがボールを持ちあがって、相手が寄り始めたら逆サイドにロングパス、Justinが受けて一気に攻めあがる、という形ができていました。それ以外にもMaddisonの動きに合わせて代わりに最前線に出て行ったり、サイドから中に入ってプレスをしたりとものすごく気が利いていましたし、Albrightonのよく曲がるインスイングのアーリークロスは相手の裏を突くVardyと相性抜群であることはもう何年にもわたって証明してきました。Barnesは今日ダメそうだな…という日がしばしばあるので、そんな時はAlbrightonに左を任せてみてもいいのではないかと思います。特にChilwellがいなくなってからBarnesは単騎突破が余計に求められていて、それがやはり毎回上手くいくわけではないので。

Rodegers監督の哲学

初回配信からだいぶ遅れてますが、先日DAZNのFootball FreaksでのRodgers監督特集を観ました。その中で彼は自分のことを"Developer"と呼んでいて、育成にこだわりを持っているとのことでした。たしかに、Rodgers監督が来てから新しい選手、特に若手がどんどん活躍していったり、ベテランも成長していったりというのを多く見ています。これまでの選手起用を見ても、Ndidiの離脱時にChoudhuryをずっと中盤底で使い続けたり、いまいちパッとしなくてもPérezとIheanachoを起用し続けたりとその哲学が感じ取れます。

ただ、この哲学が邪魔をしていることも正直あるかと思います。エヴァートン戦でもいいところのないBarnesを下げず、チャンスメイクに絡んでいたÜnderを下げてPérezとIheanachoを入れた結果、Vardy以外全員相手中盤より手前に来てしまって攻撃が停滞しました。これまでも選手交代での打開策はあんまりなくて、経験を積ませるための決まっていたような交代がほとんどだったように思います。

もちろん監督の手腕のおかげで毎年主力選手を抜かれながらもレスターが今の位置をキープできていると思いますし、この哲学は実際にレスターというクラブを発展させてくれています。このことを否定する気はありません。ただ一方で、今節は1位と2位の直接対決があり順位を上げるチャンスでした。また昨季後半はCL出場権争いに絡んだ中での大失速がありました(その一因は怪我が出たポジションを若手のチャンスに充てたことがあると思います)。やっぱり応援しているチームがより上の順位に行くほうが嬉しいので、勝負所では強気の采配も見てみたいです。これまでを見ていても決して策がないわけではないと思うのですが…。修正力がないように映ってしまうことは哲学の裏返しなのかもしれません。

軽い気持ちで書き始めたら長くなってしまいました。今日はこの辺で。